2013年 02月 25日
2/6水曜日午前1時。 ワイナポトシ6,088mのてっぺんに向けてアタック開始。 ハイキャンプから少し下った所でアイゼンを履き、ハーネスにザイルを結び、 ガイドのカルロスさん、ゆきえ、自分の順でアンザイレンスタイル(ロープでお互いを繋ぐ)に。 ほぼ無風、月がうっすらと覗き、わずかに雪がパラつくコンディションの中、クライムオン。 電池を新品に取り替えたヘッドランプの明かりだけを頼りに一歩一歩確実に踏み出す。 雪面は新雪がわずかに表面にあるだけで、がっしり締まった状態。 板履いて滑るのにはご免だが、登るのには最高の状態。 軽く踏み込むだけでアイゼンの刃ががっちり噛んでフリクションは最高、さくさく歩ける。 自分の耳に届く音はアイゼンの刃が雪面を捉える音と己の息づかいのみ。 目に入るのは己の進むべきルートと妻の背中のみ。 集中するにはこの上ない状況。 デカい雪山と己が一体になるようなこの感覚、堪りません。 ただ単純に気持ちがいいです。 これまで色んな山行を経験してきました。 しかし間違い無く、この時の登りに要した5時間、それ以上に集中した時はありませんでした。 トップアスリートが語るZONEみたいな感じだったと思います。 およそ1時間おきぐらいに休憩だったのですが、その1時間が毎回毎回あっという間でした。 だがしかし、妻のユキエは違ったようです。 ちょっと覗かせてもらった日記にはこのように綴られておりました。 初めの2、3分は雪山っていいな〜って思って登ってて、 でもしばらくしてキツいな〜ってなって、 四つ這いみたいなのは上手く登れんし、、、 そんなこんなで5時間、キツかったし、怖かったし、 でも頂上では涙がでそうやった。。 だそうです。しかし初めの2、3分って・・・ だからタイトルにあるサクッと渋く決めるってのは自分だけのことのようです。 ダイアモックスの効用もあったのか頭痛も無く、もちろん息苦しくはなりますが、 ダイビングと違っていくらでも吸って良いので、しっかり呼吸してれば問題無し。 呼吸はリズムが大切のような気がします。 歩調と合わせて意識的に多少強く呼吸してると調子良かったです。 そんなこんなであっという間の5時間で登頂!!! キツいなんて感情は皆無で、ただひたすらに楽しい気持ち良い山行でした。 終始真っ暗だったので、登頂までに撮った写真は先ほどの一枚のみ。 次の写真はピークからのこの写真でした。 そしてそして、 私のFacebookアカウントで初めて「いいね」が100を越えた記念すべき写真がこちらです。 いぇ〜い!!! てっぺん頂きましたー!!! JUNPEIくん、リベンジ成功したよ〜! ちなみにJUNPEIくんは燃えるフィッツロイリベンジやってくれました。こちらのリンクで。 この時、同じグループの8人、全員登頂成功。狭いピークに溢れんばかりのクライマーでした。 高度計もバッチリ合わせました。 こういう細かい作業が出来るほど余裕があったということですかね。 ユキエのペースにさりげなくしっかりと合わせてくれたガイドのカルロスさん。 あんまり長く休憩を取らずに、進むスピードは無理せずという僕ら好みのガイドさんでした。 下山開始後間も無くから明るくなり始め、 ヘッドランプを頼りに通ったルートも写真に残すことが出来ました。 しかし、その写真を見て改めてビックリ、凄いとこ歩いたよね。 それがこれ!幅50cmの最後の稜線です。 でもこの写真で見るほど実際には怖く無いし、危なくもありません。トレースもしっかりしてるしね。 まぁ、風が強かったら恐ろしいですけどね、、、間違い無く。 この時はほぼ無風だったので、左右の斜面を覗いて、 「すげえ斜度、滑りてぇ〜!!!」って思いながら歩いてました。 実際、写真に写ってる側の斜面については、 ここからドロップして、このラインで、ここに当て込んで、、ってイメージがある程度は湧きました。 しかし反対側の推定50°オーバーの斜面に関しては滑れるイメージが湧きませんでした。。 アラスカとかってやっぱり半端無いね。 そんなことはさておき、こちらは稜線に出るまでの下の方のルート。 斜度もキツく無く、歩きやすいルートでした。 本当に少しでも恐怖を感じるのは最後のここだけでしたね。 四つ這いポジションで上り下りする箇所も一カ所のみ、10mぐらい。 これは時期によってルートの取り方が変わると変化するのかもしれませんね。 ひとしきり下りて来て安堵感のためかへたり込む奥様。 ユッキー、もうヘッデンは外していいと思うよ。 写真じゃうまく伝わらないけど、ダイヤモンドダストって感じでキラキラしてました。 登頂のご褒美ですかね。最高です。 集中力が途切れやすい頂上直下の下りこそ要注意です。 もうしばらく下りると、さらに天気が良くなりました。 もうね、最高です。いわゆる感動です。 雲海も半端じゃ無かった。 天候が良くなって下山ルートも見通しがったということもあり、 この時になってようやく登頂の実感が湧いてきました。 正直、登る前は天候さえ良ければって勝手な自信だけはありました。 でもお天道様次第なので確信は無かったし、、絶対に無理はしないでおこうって決めていたので、 無事にピークを足元にして帰って来れた喜びは、じわじわと来るものがありました。 フォトジェニックな光景はたくさんあったのですが、 いつ何時もザイルが繋がってるんで、好きなとこに行って撮りまくるってことは出来ません。 でもまぁ、それなりに良い写真が残せたと思います。 これはなんだかユッキーが飛び立つように見える一枚。 なんでこんなことになってるのかはよくわかりません。 終始、ガイドさんとは良好な関係でした。これ凄く大切なことだと思います。 下りではだいぶ余裕が出て来た妻ユキエ。 「私も撮ってあげる」ということで一枚、でもなぜか下向いてますね。。。なんでだろう。 そんなこんなで至福の下りは2時間ぐらいだったかな、、、 とにかくサクサクで、8:30にハイキャンプ到着。 ハイキャンプで着替えして、スープ飲んで、たっぷり排尿して、ちょっとのんびりしてから、 荷物を持って9:30出発でベースキャンプに移動。 またまたベチャ雪が降ったらしく、緊張を強いられるめんどくさいトレッキングになりました。 安堵のベースキャンプ到着は10:30過ぎ。25時間ぶりにタバコを吸いました。 そして、12時にミニバスが迎えに来て親父が待つラパスに帰還です。 カルロスさん、本当にありがとう。感謝、感謝です。 そして他のメンバーの皆さん、 お互いに登頂おめでとう!!!そしてありがとう!!! ワイナポトシ6,088m 初めての本格雪山登山、初めてのピッケル、初めてのアンザイレン、 初めての6,000m峰、初めてのダイアモックス。 沢山の"初めて"があったけど、 これまでの経験を活かしてスムーズに乗り越えることが出来た。 ヒマラヤトレッキングもボルダリングもペリトモレノ氷河を歩いたことだって、全てが活かされた。 ある種、この旅の集大成みたいな感じだったかも。 だからサクッと渋く決められたんだと思います。 こんなにも安価で、こんなにも短時間で登れる6,000m峰は、 世界広しと言えど、ここぐらいじゃないかと思います。 それだけの理由でも十分にトライする価値があると思います。 僕らが味わったこの感動、この達成感を一人でも多くの方に味わって頂きたいと思うのです。 「ワイナピチュ登ると達成感あるよね〜」馬鹿言っちゃいけません、比べ物になりません。 あんなものはただのハイキングです、登山でもなんでもありません。 ラパスでちょっと時間があるよって若者には是非ともトライして頂きたいのです。 でも絶対に無理はしないで下さい。至極当たり前ですが、なめてかかればヤラれます。 どんな状況になろうとも必ずや生きて帰って来て下さい。 自信は持ってても良いですが、過信はしないで下さい。 天候さえ味方につけば、かなりの確率で登って下りて来れます。でも本当に天候次第です。 ある種、そこだけはギャンブルですが、他の要素に関してはギャンブルにならないように、 ガイドさんと密にコミュニーケションを取ってトライして下さい。 今後、沢山の方がトライして、沢山の感動が生まれることを願い、この記事を締めさせて頂きます。 ワイナポトシよ、どうもありがとう。 読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m ブログランキングに参加しています。 下の四角い世界一周ボタンを ポチッとクリックお願いします‼ ↓↓↓ にほんブログ村 PC、スマフォの方はこちらから。 世界一周ブログランキング 携帯の方はこちらから。
by sgyksgyk
| 2013-02-25 15:18
| ボリビア多民族国
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スノーボーダーでフジロッカー、ちょっとボルダラーな夫婦の旅記。2011.7.1に世界一周スタート。2013.3.25に帰国。ただいま日本。 by sgyksgyk 最新の記事
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